ドクター

リアル二刀流!? ~バランスよく両立するために~

 

 子育てをしながら、仕事を続ける。                                  「ママ~!」と呼ばれ、「〇〇さん」と呼ばれ、もっと言えば、「ねぇ。」とか、「あのさ~」と呼ばれることも・・・ありますよね(笑) 

 どんなに疲れていても、オンとオフを切り替え、家事をこなしてから仕事へ行き、帰ればまた家事をこなす。ご家族の協力を得られる方、そうでない方、人それぞれ環境も、立場も違います。 

 井上レディースクリニックのスタッフにも、たくさんのママさんがいます。

―みんなどうやって仕事と家庭のバランスを取っているんだろう?―

今回はそんな疑問を、スタッフを代表して、菅原先生に伺ってみました。3人のお子さまを育てながら、お仕事をされている先生は、どのようにして、バランスを取っているのでしょうか?

 

今年は、大谷翔平選手が”リアル二刀流”で大活躍し、話題になりました。

でも、皆さまも普段の生活で、仕事の自分、親としての自分、妻や夫としての自分、子供としての自分など、いくつもの【自分】があるのではないでしょうか?

私自身も母として、妻として・・・と、いくつかの役割がありますが、役割が増えたとしても、1日は平等に24時間!それは変わりません。  『仕事と家事が両立できています!』 とはとても言えませんが、日々何とか過ごしています。

井上レディースクリニックは、井上裕子院長先生をはじめとして、医師、助産師、看護師、他のスタッフも女性が多く、活躍している職場です。お手本にすべき先輩方の姿はたくさんありますが、勤務したての独身の頃は、

「すごいな。どうやって両立しているのかな」

と思っていました。 その後、自分自身が結婚、出産を経て、変化したところを考えてみました。

仕事に関しては、現在は勤務日を限り、時短勤務にさせていただいています。

勤務したばかりのころ、それまで勤務していた総合病院とはいくつもの違いがあり、少し戸惑いを覚えました。そんな私に院長先生が、「診断名が付く人ばかりではないけれど、でも元気なわけでもない。そういう女性も多いのよ。」と教えてくれました。地域の女性の生涯をサポートしていくということは、そういうことなんだと実感しました。 そのことに気が付いてからは、患者さまの背景、今まで思ってきたことなどを、少しずつ外来で伺い、患者さまも話してくれるようになってきたと感じます。病だけでなく、人を診るとよく言われますが、そういうことなのだろうと、今も感じながら診療にあたっています。

 

その一方で、現在はどうしても時間的に関われない仕事もでてきました。以前はずっと病院にいても大丈夫。気になることがあればずっと考えてしまうような時期もありましたが、この点に関しては大いに変わりました。

自分で無理なことをわかっていて引き受けても、結局はやり遂げられずに周りに迷惑をかけてしまうので、線引きはなるべくはっきりと伝えるようになりました。以前は、できないと言うのは無責任だったり、やる気がないように思われたりするかと思っていました。でも、時間的に不可能なら仕方のないこと。引継ぐ人や、周りに迷惑にならない形で、感謝の気持ちと共にお願いするようにしています。その代わり、やると決めた仕事は、全力で向き合い、他の人が困っていて、自分ができるというときには、さっと引き受けられるように努力を怠らずにいられるように心がけています。

関われない仕事に関しては、手が届かない感覚とでもいうのでしょうか。ジレンマや申し訳なさがないと言えば嘘になりますが、切り替えも少しずつできるようになってきたように思います。

 

家事に関しては、完璧を求めることをやめ、周りを頼るようになりました。部屋がものすごく散らかっている時もあります・・・ 少し前までは、子供に食べさせるのが大変で、自分がご飯を食べることですら、精一杯という時期もありました。

完璧を求めてイライラを溜め込むと、いつも怒っていたり、余裕がなかったりしてしまいます。危ないこと、絶対に許せないこと以外は片目をつぶるという姿勢に変えて気持ちが楽になりました。

家族もよく家事をこなしてくれるようになりました。最初のうちはやり方が違ったり、失敗することもありましたが、こちらが驚くほど上達するようになったこともあります。いつも感謝の気持ちは惜しみなく伝えるようにしています。

育児に関しても幼稚園・保育園・学校の先生方をはじめとして、いろいろな方に育ててもらったなぁと思います。

さて、ここまで書き綴ってきて、全ての場面において、一人で抱え込まない、周りの人に感謝の気持ちをもって接するということがポイントという当たり前の結論にたどり着きました。

一人で考えを深めるということも時には大切ですが、自分の思いを伝えずに一人で分かってもらえない・・・と、閉じこもっていては辛いままです。

仕事の点では、産婦人科医として井上レディースクリニックが患者さまの思いを聞く場になれたらと思いますし、共に働く人たち、家族には自分の考えや感謝を伝えるようにしたいと思っています。

 

                              医師 菅原 あゆみ